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NARRATIVES
BY INTERMEDIATORS

執筆者の写真インターミディエイター事務局

インターミディエイター像を解きほぐす ~学生ダイアログを振り返って~


study group

「インターミディエイター・プログラム」では、「ユース・アンバサダー・プログラム2024」を実施しています。


インターミディエイターに関心のある学生たちが、「インターミディエイター講座2024」のアーカイブ動画を視聴し、内容をめぐって、みんなでダイアログしていきます。


インターミディエイターの学びを、学生たちがどんな感性で受けとめるのか。お互いにどのようにCo-learningして、成長していくのか。ユース・アンバサダー自らがコラムを寄稿します。


今回は学生コラムの第2回目、ユース・アンバサダーである筑波大学修士2年の大塚葉月さんがレポートします。


 

こんにちは。インターミディエイター・ユース・アンバサダーの大塚葉月です。


学生アンバサダーで参加する大塚葉月さん

大学院では社会学(特にジェンダー論)を専攻しています。また、一般社団法人ぼくみんで学生メンバーとして活動しています。代表の今津新之助さんからのご紹介で、2023年10月に、「インターミディエイター・フォーラム」に参加させていただいたことを機に、インターミディエイターに関心を持つようになりました。


第1回目のダイアログとなる今回は、今の時代にインターミディエイターが必要とされる背景から、インターミディエイターとは何か?までの概略を学び、学生4人でのダイアログを通してイメージをふくらませていきました。


この記事では、講座やダイアログの中で印象に残ったこと、学びから考えたことなどを中心に、言葉にまとめます。



◆生命的な網の目の中で、お互いにケアしケアされる関係を築いていくこと


はじめに、インターミディエイター登場の背景のひとつとして、「価値創造パラダイムの転換」についてのお話がありました。


第3カーブである現在以降の時代、プロジェクトや事業を推進するときの考え方として、「開かれた対話と創造の場」が必要とされています。この原理のもとでは、立場の異なる多様な主体、「多数多様体」が関わりあうことで、需要が創造されます。


このお話の中で印象に残ったのは、第3カーブのモデルは生命論的に考えられているということでした。関係の網の目の中で、他者と関わり影響を与え合い、生きもののようにつねに動き変化しているのです。


だからこそ、つねに「ケア」をしていくことが必要なのだと思いました。ここでの「ケア」は、相手を理解しようとしたり、対話をし続けたり、関係を維持・発展するために必要なこと、というイメージです。


このようなことを考えながら、学生メンバーとして活動している一般社団法人ぼくみんで一緒に取り組むメンバーや、協働している様々な立場のみなさんの姿が思い浮かびました。彼らは、日々、関係や状態が変化していく中で、時に一筋縄ではいかない局面にあっても、他者と関わることをいとわないのです。



SNSの時代に育った私は、どこかで周囲との距離を保ちながら生きてきました。しかし、ぼくみんの活動を通じて、その環境を超えたところに、誰かとともに生きていくよろこびがあることを感じています。それは、密度の濃い関係の中で、自分もケアされていると感じる瞬間があるからです。


生命的な網の目の中で、お互いにケアしケアされる関係を築いていくことによって、多様な人々との表面的ではない持続的な対話が可能になり、そこから新たな価値が創造されていくのではないでしょうか。


大塚葉月さん
一般社団法人ぼくみんの学生メンバーとして活動に参加する大塚葉月さん。右隣は代表の今津新之助さん。

◆「あいだの知の担い手」の奥深さ

そして、インターミディエイターとは何か、についての学びから考えたことは、”あいだの知”の担い手であることの奥深さです。


インターミディエイターとは、異なる立場にある人たちのあいだに立ち、さまざまな立場を理解し、声を聞き、媒介する役割の人です。時に、それぞれの価値観や言葉が異なる中で、お互いの伝えたいことを「翻訳」しながら、場を動かしていきます。その積み重ねによって、新たな関係や価値を創造していくのだと理解しています。


このような調停役・仲介役としての存在は、まわりからは気づかれにくいこともあります。しかし、それは自分の存在を消して相手の要望に応えようとすることとは、また違うのだろうなと感じました。ただ、あいだの存在として、自分自身の声はどのように聞けばよいのだろうか、と気になりました。


その疑問は、ダイアログをしながら少しずつ解かれていったように思います。


ダイアログでは、講座や感想の共有を通して、私たちが感じ取ったインターミディエイター像を共有して深めていきました。その中で、アンバサダーの北川さんが、ご自身が学ばれている舞台演出を例に挙げて、演出家とスタッフのあいだに立つ演出助手は、お互いが言っていることをそのまま伝えるのでは意味がないのだと思う、という話をしてくださいました。


その時に、複数の他者のあいだで何をどう伝えるかを考えているときに、そこにはその人自身の解釈や考えがすでに含まれているのだと、認識が変化しました。


また、調整をしながら新提案をする、というのがインターミディエイターであるというお話から、自分自身の声を抑える必要はまったくない、と改めて気がつきました。


あいだに立ちながら、相手に寄り添うだけではなく、対等な一人の存在として向き合うことは、日常の様々な場面でも心がけていけるはずです。インターミディエイターについて理解を深め、少しずつ近づいていけるように、まずは日々の小さな実践から始めていきたいです。


文:大塚葉月

イラスト:竹原小陽

編集:松原朋子

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